お客ゼロ、全員スタッフ。みんなで作る無人島でのシネマキャンプ?!(FORECASTS from EVELA|08.19.2021)
2021年9月3日〜9月5日|MUJINTO cinema CAMP 2021
Image from MUJINTO cinema CAMP 2021
各自参加費用を払い、無人島に集まりみんなで会場を設営。開放的な野外の空間に立ち上げた巨大スクリーンで映画を鑑賞する。これまでになかったそんな全く新しいフェスの形を提示するMUJINTO cinema CAMP。台風による2020年の開催中止を乗り越え、今年9月に開催される。
フェスといえば、参加者は主催者が提供するエンターテインメントの対価としてチケット代を払うというものが主流だが、主催のConstruct film worksが提唱する「フェス2.0」という概念に基づき構成される本イベントはその形式を取らない。未完成の状態で開催を伝え、来場者各々の力を使ってイベントを作りあげる。開催までの間に参加者との相談会を開き、得意分野などを聞き出しつつ参加者を設営にアサインしていく仕組みだ。これは出演者のアサインや、広告拡散、資金の調達などを経て行われる従来のイベント運営とは趣が違うものだ。メインコンテンツがアーティストのパフォーマンスや催しではなく「皆でフェスを作り上げる」という体験にあるところが肝だ。
2017年にエピソード0的にに開催されたこのイベントは、日本中から集まった参加者、それぞれ得意とする分野を持ち寄って作り上げられ、参加者からの満足な声が多く聴かれる結果となったようだ。またその手法をマニュアル化しフランチャイズとして、主催者が関わらずとも、別の場所でも同じ形式のイベントを立ち上がらせることにも見事に成功した。そうした功績も手伝い、今回もすでにチケットの売り切れが迫っているようだ。
野外フェスが乱立する中、そこで得られる体験は昔に比べ画一化されている傾向にあり、新しい驚きや感動は生まれづらい状況とも言える。そうした中主催者が注目したのは小規模コミュニティの延長線上にあるフェス。そしてその作る行為そのものを提供するという考え方だ。それはこれまでの受動的な「エンターテインメントの消費」というスタイルから、能動的な「エンターテインメントの生産」へと変換されることにつながる。無人島でのイベント設営と「みんなで映画を見る」という目標を共有する経験は、自然から離れて都会に戻ってきても活かせる様々な学びを持ち帰ることができるのではないか。リゾートや逃避としてのフェスではなくこれはまさしく「冒険」だ。その体験は、子供だけでなく、大人たちの日々の生活の価値観を大きく成長させてくれるに違いない。(YOSUKE NAKANO)
MUJINTO cinema CAMP 2021
【開催日時】
2021年9月3日 (金) – 9月5日 (日)【場所】
〒410-3515 静岡県賀茂郡西伊豆町田子1118−3【WEB】
https://www.mcc2021.jp/