メジャーデビュー30年。ボーカル・佐藤伸治の急逝後も日本の音楽史に燦然と輝くバンド・フィッシュマンズを読み解く本、映画が一挙公開。(FORECASTS from EVELA|07.09.2021)

映画:2021年7月9日(金)順次全国公開|Fishmans 30th

Image from 映画:フィッシュマンズ公式サイト

1990年代の東京に、確かな存在感を持っていたバンド、フィッシュマンズ。ボーカル・佐藤伸治の急逝から22年経った現在も時代を超えて聴き継がれ、昨今では国内のみならず海外からの再評価も進んでいる。1997年当時、国内ではあまりにも新しかった35分1曲の『Long Season』は米国 Amazon のレビューを見ると、ビートルズ、ピンク・フロイド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやピクシーズの名盤に肩を並べる作品との声もある。

スピッツやウルフルズなどと同時代に活躍しながら、バンドブームの香り漂う音楽バブルの真っ只中、独自の活動を展開してきた彼らは佐藤伸治の急逝後はドラマーの茂木欣一を中心に、ベストアルバム、リミックス作品、リマスター音源やトリビュート作品を発表してきた。2005年にはUAや山崎まさよし、忌野清志郎、クラムボン原田郁子など豪華ボーカリストを迎えたリユニオン、Fishmans+などでのライブを精力的に行い、今年でデビュー30年を迎える。
クラウドファンディングで立ち上がったドキュメント映画企画には1100人を超える支援が集まり、コロナなどの影響もあったものの今夏無事公開される。映画内では、レコード会社の垣根を越えた未公開の当時の映像や音源を始め、これまで公に語られることのなかった、バンドを去っていったメンバーの葛藤や、最後のライブとなった「男たちの別れ」終了後から急逝に至るまでの様子が、関係者たちへのインタビュー形式で語られていく。2011年に発売された「僕と魚のブルーズ -評伝フィッシュマンズ-」に大幅加筆された新装版や、別冊ELE-KING「永遠のフィッシュマンズ」も発売され、世界での再評価のうねりに呼応するように、深掘りして楽しめる状況となっている。

映画の舞台挨拶でドラマーでリーダーである茂木欣一はこう語る、「フィッシュマンズの物語は、もちろん僕たちの物語だけど、同時に見た人にとっての自分の物語にもなりうる、そんな映画になっていると思います」。

明治学院大学の音楽サークルで「東京育ちの粋な若者・佐藤伸治」と出会ったメンバーたちによって作られたフィッシュマンズ。時代のうねりの中で、「音楽」を追求した若者たちの物語が、今を生きる私たちに何を語りかけるのか?この機会にフィッシュマンズの音楽に再度出会って欲しい。

(YOSUKE NAKANO)

Fishmans 30th

映画:2021年7月9日(金)順次全国公開
本:川崎大助 「僕と魚のブルーズ -評伝フィッシュマンズ-」新装版(発売中)
本:別冊ELE-KING「永遠のフィッシュマンズ」(発売中)
レコード:HMV限定「いかれたbaby」ムビチケ付き7inchレコード(発売中)
配信:BABY BLUE 1996 Live at 新宿リキッドルーム(配信中)

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